しゃがむと膝が痛い4つ原因。改善させるための2つの方法

リハビリ

立っていても歩いていても膝が痛くないのにしゃがんでいると痛くなる。しゃがんだ姿勢からまた立ち上がる瞬間に膝が痛いなんて訴えの患者さんいますよね。こんな患者さんのリハビリに携わることになればとりあえずしゃがむ動作を見せてもらいます。でもどこが痛いとかどのくらい痛いとか曖昧な答えが返ってくるだけで痛みの原因はわかりません。痛みの原因を探るためにはしゃがむ姿勢が膝の周りの組織にどのようなストレスを与えるか考えなければなりません。

内容のポイント

・しゃがむと膝にどんなストレスがかかるのか

・しゃがみ動作を改善させる方法とは

1.しゃがむときに膝にかかるストレスとは

しゃがむ姿勢は床の掃除をしたり、下に落ちた物を探したりと日常でもよく行う動作です。さらに仕事で建設業で家屋の内装工事をする職人さんや介護職で高齢者と同じ目線で話すために姿勢を低くする人、清掃業で床の掃除をする人など職業柄しゃがんで作業しなければならない方もいます。

そのような方々にとってしゃがんだときの膝の痛みは辛いものです。家での生活や仕事で何度もしゃがまなくてはならないのに痛いのでは家事や仕事のやる気にも影響します。ここではしゃがむ姿勢が膝にどのようなストレスを与えているか考えていきます。     

1ー1:膝の前は伸ばされる

しゃがむときには膝を体重をかけた状態で膝を大きく屈曲させていきます。この運動で膝の前方

には伸張ストレスが加わり、後ろには短縮ストレスが加わります。膝の前方の筋として定番は大腿四頭筋です。大腿四頭筋は大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋の4筋で構成されていますが、大腿直筋は骨盤から始まり脛骨に終わる二関節筋であり、他の3つ広筋群は大腿骨と脛骨を結ぶ単関節筋です。しゃがみ姿勢は股関節屈曲位、膝屈曲位です。

股関節が屈曲するため大腿直筋は広筋群ほど伸張されないと想像できます。しゃがみ姿勢で前面の筋の伸張痛を考慮する場合は広筋群に焦点を当てることになります。またしゃがむときには足を閉じた状態よりも開いた状態でしゃがむ方が多いと思います。

その際股関節は外転、外旋しているため広筋群のなかでも内側広筋がより伸張位になりやすくなります。内側広筋の伸張性の低下やスパズムがあるとしゃがんだ際の膝の内側の痛みの原因になります。

1ー2:膝の後ろは縮む

しゃがむ動作では前方が伸張されますが、当然後方では短縮が起こります。膝の後方の筋として定番はハムストリングスです。ハムストリングは外側の大腿二頭筋、内側の半腱様筋と半膜様筋で構成されています。これらの筋は膝関節の屈曲に作用しますが加えて大腿二頭筋は下腿の外旋に、半腱様筋と半膜様筋は下腿の内旋にも作用します。

膝関節を屈曲するときにはハムストリングスは短縮しなければなりません。ハムストリングにスパズムがあると筋肉が緩みにくい状態になります。しゃがむときにハムストリングがアコーディオンを閉じるように短縮してくれればよいのですが緊張が抜けていないとしっかり短縮できずにしゃがみ動作を邪魔します。そこでハムストリングの緊張はしゃがみ動作の制限になるため柔軟な状態を作っておく必要があります。

1ー3:脛骨が内旋しないとしゃがみにくい

膝関節を屈曲していくときには脛骨の後方への移動と内旋を伴います。そのため脛骨の外旋に作用する大腿筋膜張筋や大腿二頭筋は脛骨の内旋を制限することでしゃがみ動作がスムーズに行えない原因になります。しゃがみ動作は膝関節を深く屈曲させます。

深く屈曲させる際には脛骨の内旋が十分行える必要があります。大腿筋膜張筋は骨盤を構成する腸骨から大腿外側の腸脛靭帯を介して脛骨外側に付着します。大腿筋膜張筋が硬くなると腸脛靭帯を介して脛骨の内旋を制限します。

また腸脛靭帯は膝関節の屈曲と伸展に伴って前後に滑走します。屈曲の伴って後方に伸展に伴い前方に移動します。膝の運動に伴って腸脛靭帯の移動がしっかり行えているか確認しておく必要があります。

1ー4:半月板にかかるストレス

大腿骨を脛骨の間には内側、外側の半月板が存在します。大腿骨顆部は丸い形状をしており、脛骨の顆部は平坦な形をしています。

下肢は体重を支え立ったり、歩いたりすることが重要な役割です。体重をささえるために平坦な物の上に丸い物が乗っているのは安定性が悪くなります。半月板があることで丸い大腿骨と平坦な脛骨の間を埋める形となり関節の適合性が向上します。また、接触面積を広げることで関節への圧縮力を分散させることにも役立っています。

半月板は膝の屈曲伸展に伴って動きます。関節の安定性に大事な半月板ですが、しゃがむ動作のときには半月板が適切に動かなければ動作を邪魔する原因になります。半月板は屈曲する際に後方へ、伸展では前方へ移動します。

半月板の後方には筋の付着がありそれぞれ屈曲の際に半月板の動きを誘導しています。内側半月板には半膜様筋が、外側半月板には膝窩筋がそれぞれ結合しており、これらの筋が膝の屈曲とともに収縮することで半月板が関節に挟み込まれないようにしています。

また伸展では大腿四頭筋が収縮することで両側の半月板の間に存在する横靭帯を膝蓋下脂肪体を介して牽引したり、両側の半月膝蓋靭帯を緊張させることで半月板の前方移動を誘導しています。しゃがんでいくときに膝が痛い場合は屈曲に伴う半月板の後方移動の障害を疑い、しゃがんだ姿勢から立ち上がるときに痛い場合は半月板の前方移動の障害を疑います。

2.しゃがみ動作の膝の痛みを改善させる方法

しゃがみ動作で膝の痛みが出るときに改善を図る方法は原因によって異なります。ここでは外側の柔軟性低下が起こると膝蓋骨の動きにどのような影響を与えるか、その状態で内側支持機構としてどのような機能が必要か。また半月板の動きが原因でしゃがんだときに痛みが出ている場合はどのように動きの改善を図るのか。ポイントを二つに絞って解説します。

2ー1:外側の柔軟性改善と内側支持機構の強化

しゃがんでいくときには大腿四頭筋は遠心性収縮しながら膝関節を屈曲していきます。大腿外側の組織である腸脛靭帯や外側広筋、外側膝蓋支帯の硬さは膝蓋骨を外頭側に牽引することになり内側広筋が働きにくい状態となります。外側が硬く、内側の活動が低下している場合膝蓋大腿関節の圧縮力が増加し、膝蓋骨下方内側の組織には牽引するストレスが加わります。

それを改善するためには外側の組織の柔軟性を確保し内側広筋の収縮を増強する必要があります。腸脛靭帯は大腿筋膜張筋によって牽引されるため大腿筋膜張筋のストレッチを行うことで柔軟性の改善を図ります。障害側を上にした側臥位で股関節伸展位および膝関節屈曲位から股関節内転方向にストレッチします。ちょうどOverテストの肢位です。

次に内側広筋の収縮を強化します。内側広筋の斜走線維は大内転筋と筋連結をもっています。そこで端座位で両大腿の内側にボールなどを挟み股関節内転させながら膝伸展運動を行います。膝蓋骨が内頭側に上がるようなイメージで実施します。

2ー2:半月板の動きを改善させる運動

前述のように半月板は膝関節の運動に伴って動きます。立った状態からしゃがんでいくときに膝の痛みが出る場合は半月板の後方への移動が制限されている可能性があるため内側半月板であれば半膜様筋に、外側半月板であれば膝窩筋にアプローチします。それぞれの筋を収縮させることで半月板の動きを誘導を改善させます。

半膜様筋であれば膝関節屈曲100°にて内側側副靱帯後方の関節裂隙で内側半月板を触知しながら屈曲の自動介助運動を行うことで内側半月板の後方への移動を改善させます。

膝窩筋であれば膝関節屈曲90°にて腸脛靭帯と大腿二頭筋腱の間の関節裂隙に指を当て、収縮に伴って外側半月板が後方へ移動することを確認しながら行います。このとき膝窩筋の起始と停止が近づく方向に収縮させるため膝関節の屈曲と内旋を自動介助運動で行います。

半月板の触診できるかどうかがポイントです。半月板は靭帯より硬い組織で耳の軟骨を同じような硬さです。

まとめ

しゃがむときにの膝の痛みの原因と改善させるための方法を解説しました。しゃがみ動作は日常でもよく行う動作であり、仕事の場面でも行う機会のある動作です。しゃがむたびに膝が痛くては生活や仕事に支障を来します。

しゃがむときには大腿四頭筋の筋力を膝関節をスムーズに動かすための半月板の誘導が重要です。しゃがみ動作に関わる筋肉の柔軟性もよい状態に保っておく必要もあります。

今回は膝関節周囲の話でしたが膝関節は上は股関節、下は足関節に挟まれた中間関節です。そのため股関節を制御する筋や足関節も含めた下肢のアライメントなども考えなくてはなりません。膝関節内側支持機構や半月板に対するアプローチで改善しない場合は股関節、足関節からの影響も検討する必要があるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。今回の記事は以下の書籍を参考にしています。

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