若手理学療法士必見!骨折後のリハビリの考え方と注意点

リハビリ

理学療法士であれば骨折後の患者さんのリハビリを行なう機会は多いですよね。特に整形外科クリニックに勤めていると毎日のように骨折後の患者さんに出会います。

そんなとき何に気をつけてリハビリに当たっているでしょうか。新人のときには痛みが強い患者さんに苦労した覚えがあります。

骨折のリハビリを行う上で最も重要なことはなにか?それはとにかく骨癒合を第一に考えることです。その上で骨折部に負担をかけないように拘縮を予防、改善し筋力が足りない場合には増強運動を可能な限り行なっていくことが求められます。

骨折後のリハビリで重要な視点は組織の治癒過程や期間を知っているかということです。それを知らないと適切なリハビリは展開できません。以下に解説していきます。

記事のポイント

・骨折後のリハビリの概要を理解する

・骨折の拘縮と筋力低下を最大限予防、改善する方法

1.骨折後のリハビリに対する考え方

骨折後のリハビリに携わった経験のある理学療法士の方へ。

骨折した部位によって機能障害は様々です。下半身の骨折であれば歩行に影響がでることが多く、上肢の骨折であれば着替えや食事の動作が制限されたりします。

骨折部によって違いはあるものの基本的な考え方は共通するところがあります。まずは大まかに骨折後のリハビリの基本的な考え方を解説していきます。   

 1-1:骨折するとはどういうことか

骨折とは文字通り骨が折れることです。レントゲンではどこに骨折線が入っているか、どのように転位しているかがわかります。

骨折後の患者さんは骨折部とは全く異なる場所に痛みを訴えたりします。これは患者さんも疑問に思っていて「股関節の骨折なのに膝が痛いんです。膝も骨折してるんですか?」なんて言われることもあります。

骨折はどうしても骨ばかりに目が行きがちになりますがそれだけでは疑問は解説されません。もう少し深掘りする必要があります。骨折するということは骨が折れるほどの外力が加わったということであり、骨の周りにある骨膜、関節包、靭帯、筋肉、皮下組織、皮膚に至るまで損傷している可能性があるということです。

そのため骨のことだけを考えていても適切にリハビリを展開することはできません。画像所見と受傷時の状況から損傷した組織を想像することが大事です。その上で実際に触ったり、動かしたりしながらさらに細く見ていきます。骨折の治療で大事なことは骨癒合です。どれだけ運動を改善しても骨癒合が得られない方法であれば元も子もありません。そのためには損傷した組織の治癒過程を知っておく必要があります。

1-2:保存療法か手術療法か

骨折の治療とは骨癒合を促進させることです。骨癒合するため固定が必要です。骨折でずれた骨同士を整復してギプスなどで固定する方法や創外固定といって体の外側から骨折部に向かって金属製の支柱を打ち込み固定する方法、または手術をして骨にプレートや髄内釘、スクリューなどを用いて骨を直接固定する方法とあります。

大まかに分けて手術をせずに固定する保存療法と手術方法に分かれます。保存療法の場合は骨折したときに合わせて損傷する組織を考えていけばよいですが手術療法の場合はそれに合わせて手術侵襲による影響を考えなければなりません。つまり、手術で皮膚のどの場所から切開しているか、筋肉やどのように分けているか、関節内骨折では関節包をどのように切っているかなども考えなくてはなりません。

手術で侵襲を受けた組織が多く、範囲が広いほど治癒する過程で硬さがでます。この硬さが関節の可動域制限や筋肉の柔軟性低下を招く原因になります。そのため手術でどの組織が侵襲されたか最低限の知識が必要です。また整形外科医とコミュニケーションを取る上でも重要な知識となります。

1-3:骨癒合の期間はどのくらいか

骨折後の治療で最も重要なことは骨癒合です。そこで骨癒合にかかる期間を理解しておく必要があります。骨折後は受傷後1~3日で出血、血腫が形成され、1週間ほどでマクロファージによって清浄化され血管新生が起こります。2週間で骨芽細胞の出現・増殖が起こり4週間で石灰沈着・石灰化仮骨による骨性癒合、骨芽細胞と破骨細胞による改築が開始されます。また、骨折した部位によって治癒期間は異なります。

骨癒合の治癒期間と調べるときにGurltとColdwellの示した期間が有名です。それによるとGurltでは手指・足指は2週、肋骨3週、橈骨・尺骨5週、上腕骨6週、大腿骨頚部12週、大腿骨骨幹部8週、脛・腓骨7~8週となっており、Coldwellでは仮骨出現が手指・足指は2~3週、橈骨・尺骨3週、上腕骨2~4週、骨盤4週、大腿骨頚部12週、大腿骨転子間部4週、大腿骨骨幹部6週、膝蓋骨6週、脛骨・腓骨4~6週、踵骨6週となっています。

Gurlt、Coldwellの表

骨折後は最低4週間が仮骨形成に重要な期間であり、骨癒合には6~8週が目安になります。骨折の固定性や血流、年齢や糖尿病などの代謝性疾患の有無でも骨癒合を遅延させる要因になるため一概に期間のみを考えてリハビリを行うわけではありません。整形外科医と画像所見をもとに適切に癒合の程度を確認していくことが重要です。 

2.骨折後のリハビリを上手に行うための注意

骨折後のリハビリについて概要が理解できたら次は実際にどのようなところを注意して見ていけばよいかというお話です。骨折後には当然炎症が起き、痛みを伴います。そこで痛みのコントロールをしながら炎症を助長させない工夫が必要です。

炎症部位を休ませながらそれ以外の部位の運動性を出していきます。それが判断できると骨折後のリハビリを組み立てやすくなり苦手意識も減っていくでしょう。以下に上手に行うために必要なことを解説します。   

2-1:腫脹・浮腫管理

骨折部位に炎症が起こることや手術侵襲によって周囲は腫脹や浮腫が起こります。腫脹や浮腫は皮膚と皮下組織、その深層の筋肉との滑りを妨げます。骨折後、手術後で皮膚がパンパンになっている場合皮膚を摘もうとしてもできず、余裕がなくなっている場面を見るセラピストは多いのではないでしょうか。

腫脹や浮腫があると皮膚の動きを制限します。皮膚や再表層の組織です。皮膚の滑りが悪いと関節可動域の制限の原因となり、関節は動かしにくい状態が続くため循環不良になり腫脹や浮腫の改善を遅らせます。

そのため、初期では特に腫脹・浮腫管理が重要になります。例えば足部の外果骨折でプレート固定された場合を考えてみます。外果部の固定のため腓骨腱を傷つけないようにわけて皮膚を切開し固定されたとします。外果には手術の創部ができることで皮膚の滑りが悪くなります。また足部は心臓から遠いこともあり腫脹、浮腫が大きくでる場所です。弾性包帯やガーゼなどを使用し外側から圧を加えた状態で足指の運動をすることで腫脹や浮腫の改善を第一に考えていきます。

臥床時には足先を枕やクッションなどで高くして寝るように指導します。患者さんに理解していただき指導することが重要です。

2-2:表層から深層組織へと治療する

骨折後に起こる重要な機能障害として関節可動域障害、拘縮があります。拘縮が起こると関節の運動が制限されるため日常生活のあらゆる場面に支障がでます。例えば肩の骨折で腕を高く上げる運動が制限されたとします。この場合高いところにある物が取りにくくなったり、さらに挙上制限が大きいと頭を洗うことも大変になります。足首の骨折で足首を上に上げる運動が制限された場合は歩くときに踵からつま先の方へ体重を移動させることが難しくなり、つま先歩きのような状態になります。そのため骨折後の治療では拘縮をいかに予防、改善するかが大事です。拘縮は骨、靭帯・関節包、筋肉、皮下組織、皮膚のように深層から表層に向かって硬さが出てくるといわれます。

治療はその逆で表層の組織からアプローチしていきます。手術している場合整形外科医に了解を得た上で手術創部の皮膚の滑走性を出すように動かしていきます。創部の離開に注意しながら皮膚をつまんで滑らせます。

炎症が強い時期に行うことが多いため1回の介入で1分ほどの実施に留めています。皮膚が終われば皮下組織、筋へと徐々に深部に向かって治療をすすめます。

2-3:筋力を発揮させるための準備

拘縮の予防・改善に続いては可能な限り力も落としくないと考えます。骨折に負担をかけたくないけど筋力は維持したい。そのためにどのような方法があるでしょうか。

私はよく等尺性収縮を利用します。等尺性収縮とは筋の長さが変わらない収縮様式。つまり関節運動を止めた状態で筋を収縮させます。関節運動を伴わないため骨折部が過度に動くことを防ぎたいときや痛みが強い時期にも実施しやすい方法です。

また筋の長さが変わらないとはいっても実際には筋肉の収縮と弛緩は起こるため筋の周りの組織との滑走性を促したり、循環を改善させたり、リラクゼーション目的に使用したりと応用することができます。実際の運動を作っていく場面では等張性収縮が重要になりますが、等尺性収縮で筋の収縮の仕方を感覚として掴んで置くとすすめやすくなります。自己で筋収縮の感覚を掴みにくい場合には電気刺激を利用して収縮感を感じていただく方法もあります。

患者さんに合わせた刺激の入れ方を考えていくと筋肉の使い方が変化していきます。

まとめ

若手理学療法士向けに骨折後のリハビリについての考え方をお話ししました。骨折後は骨癒合が第一。それは理学療法士であればだれもが当然のように理解していることだと思います。私が新人のころは頭では理解していても早く動かさなければならないと焦っていたことがありました。

どこは動かしてよくて、どこを動かしてはいけないか判断できると骨折後のリハビリが適切に行えるようになるでしょう。患者さんにも説明しやすくなります。この記事で骨折後のリハビリの大枠を理解するための助けになれば幸いです。

マイナビコメディカル

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