理学療法士が整形クリニックに転職すると肩関節の知識が必要

理学療法士向け

「整形クリニックに転職を考えているけどどんな患者さんがいて、どんな知識が必要か知りたい」

「たくさん整形患者さんが来るなかで特にはじめはどの部位の知識を深めたらよいかわからない」

「総合病院で勤務していたときには肩関節の患者さんはあまり経験がないため整形クリニックに転職を考えると知識不足が気になる」

こんな疑問を持つ方にオススメの記事です。

私は総合病院から整形クリニックに転職しました。総合病院と整形クリニックでは病院の特徴が異なるため必要になる知識や技術も変わります。整形クリニックには数多くの整形患者さんが来院されます。そのなかで私は肩関節に関わる知識が不足していると感じました。今回はそんな私の経験を活かして肩関節の知識がなぜ必要か、具体的にどんな知識や技術が求めれられるかご紹介します。

1.肩関節の知識が必要になる理由

整形クリニックにはあらゆる整形疾患の患者さんが来院されます。そのなかで肩関節の疾患の患者さんも多いため整形クリニックで働くのであれば肩関節の知識は必須です。総合病院でも整形の患者さんはいらっしゃいますが骨折の患者さんが多く、整形クリニックの外来リハビリに来られる肩関節の患者さんとは少し異なります。ここでは整形クリニックに転職すると肩関節の知識が必要になる理由を解説します。

1ー1:肩関節疾患の患者さんが多いため

整形クリニックで肩関節の知識が必要になる理由の一つとして、肩関節疾患の患者さんが多く来院されるという点があります。私が勤務する整形クリニックには一人の理学療法士が1日に10~15人ほどの外来リハビリ患者さんを担当します。その内肩関節疾患の患者さんは3~5人ほどが平均で、多いときだと1日にみる患者さんの半分が肩関節疾患の方という日もあります。肩関節疾患といってもその範囲は広く、肩関節周囲炎や腱板断裂、上腕骨近位端骨折、交通外傷による肩関節周囲の挫傷など様々です。肩関節疾患の患者さんをみていくには当然肩関節の知識が必要です。知識がなければ患者さんの訴える症状に対応することはできません。総合病院で勤務していたことろは主に脳卒中や呼吸器疾患の患者さんに多く関わっていたことがあり肩関節に関わる機会はそれほど多くありませんでした。まして入院患者さんばかりを担当していたため外来リハビリ

出会う肩関節疾患の患者さんに関わることはほぼありませんでした。整形クリニックでは毎日何かしらの肩関節疾患の患者さんに関わることがあるため知識の向上が重要になります。

1ー2:肩関節の知識がなければ測定・検査もできないため

肩関節疾患の患者さんが多く来院される中で肩関節に対する知識が少なければ測定・検査は行えず治療にも結びつきません。理学療法士であれば国家試験に合格して働いているのでそれなりの知識はあります。しかし、国家試験レベルの知識では患者さんの病態を把握するには不十分です。

肩関節は人間の体の中で最も可動性の大きい関節です。この大きな可動性があることによって高いところに置いてある物を取ったり、車の運転席から体を捻って後部座席に置いた荷物を持ってきたり、お風呂で体を洗うときに頭や背中に手を持っていけたりとあらゆる方向へ自由に腕を動かすことができます。大きな可動性があるということは、言い換えれば不安定な場所ということです。ガチガチに動きの少ない場所のほうが安定性はよくなります。しかし、それでは自由で大きな動きはできません。元々よく動く場所だけに、一度怪我や炎症などで肩に障害が出ると日常生活に多くの不便が起こります。動きにくくなった原因を探っていくには測定・検査をして明らかにしていかなければならず、そのためには深い知識が必要です。

2.肩関節疾患の患者さんがきたら見るポイントとは?

私の勤務する整形クリニックには多くの肩関節疾患の患者さんが来院されます。外来の限られた時間のなかでポイントをしぼってみていくと患者さんの病態を把握しやすいのではないでしょうか。肩関節疾患で見なければならないポイントはいくつかありますがここではポイントを二つに絞って解説します。

2ー1:ポイント①    肩甲骨の位置

肩関節疾患の患者さんを見る上で肩甲骨の位置は重要です。肩甲骨は胸骨と鎖骨で連結する胸鎖関節、肩甲骨と鎖骨で連結する肩鎖関節で運動します。そこで頚椎から肩甲骨、胸椎から肩甲骨に付着する筋肉の状態によって肩甲骨の位置も変化します。私の場合は肩関節疾患の患者さんが見えたらまず座位姿勢を見ます。座った状態で左右の肩甲骨の位置を比べます。健側に比べ肩甲骨の高さが上がっていたり、胸椎から肩甲骨の距離が外側に離れていないか、頭の方からみたときに患側の肩が前に出ていないかなどを見ます。患側の肩甲骨が上がっていたら僧帽筋や肩甲挙筋などの肩甲骨の挙上にかかわる筋肉の状態を探っていきます。筋肉が硬くなっていたり、伸びが悪くなっていたり、痛みが出たりするとそのまま肩関節の可動性の制限につながります。肩甲骨は上腕骨が動くために土台になるため動かす前から本来の位置になければ動かしたときにはタイミングがずれたり、動きが過剰になったりします。肩甲骨の位置に注意を払うことは肩関節疾患を見る上で重要なポイントです。

2ー2:ポイント②    回旋筋腱板の筋力検査

肩関節疾患の患者さんを見る上で重要になるポイントの2つ目としては回旋筋腱板の筋力の把握することです。回旋筋腱板とはローテーターカフとも言われ棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋から構成されます。回旋筋腱板は肩の運動をするときに重要なインナーマッスルとして働きます。肩関節は先にお話ししたように可動性が大きい代わりに不安定な関節でもあります。不安定な関節を安定して動かすためには回旋筋腱板の働きが重要です。腱板の部分断裂や肩関節周囲炎などでは回旋筋腱板の機能が落ちることで簡単に腕が上がりにくくなったり、背中に手が回らなくなったり、痛みが出たりします。具体的には肩の外転で棘上筋、外旋で棘上筋と小円筋、内旋で肩甲下筋の筋力をみます。どの筋の機能が低下しているか把握しなければどの筋を増強しなければならないか、どの筋を温存したほうがよいのかわかりません。そのため回旋筋腱板の機能が保たれているか知ることが重要です。

3.肩関節の知識をどのように活かすのか

肩関節疾患の患者さんを見るポイントを理解できたら次は実際にどのように活かしていくのか症例を交えてお話しします。ここでは整形クリニックの外来リハビリでよく出会うことの多い肩関節疾患のうち腱板損傷と肩関節周囲炎の患者さんを症例として紹介したいと思います。

3ー1:症例①  腱板損傷

腱板損傷とは先にお話しした回旋筋腱板が部分的に断裂したり、完全に断裂するものをいいます。私の勤務する整形クリニックでは腱板損傷の保存療法を選択された患者さんが外来リハビリに来ます。腱板損傷の患者さんを見る上で重要になるのは損傷した腱板がどの筋由来のものか把握することです。損傷している腱板がわからなければ損傷部位に負担をかける運動をしてしまいさらに損傷部位を悪化させる可能性があり、一部断裂から完全断裂に移行する場合もあります。腱板の筋力検査で肩関節外転の筋力低下がある場合、棘上筋の損傷が考えられます。棘上筋に負担をかけない動作を指導する必要があります。床においたカバンを持ち上げるときには手を伸ばさずに肘を曲げて持ち上げること、入浴時に髪を洗うときには肩を上げすぎずに体幹を前屈して行うことなどを指導します。炎症期が過ぎたら損傷していないであろう棘下筋や肩甲下筋の運動を行い、損傷した腱板の機能を補うことができるようにアプローチしていきます。

3ー2:症例②   肩関節周囲炎

肩関節周囲炎の患者さんも出会う機会が多いです。一般的には五十肩とも言われます。「周囲炎」という名の通り、肩関節の周りに炎症が起こり痛みは可動域制限が問題になる疾患です。肩関節周囲炎の初めのころは安静にしていても痛みがあり、夜間就寝時にも痛みがあり睡眠不足になる方もいらっしゃいます。初期はとにかく炎症を強くしないことが大事です。患者さんは痛みを回避するため肩甲骨が挙上、外転位になっていることが多い印象です。良い方の肩甲骨の位置と比べると肩の高さの違いに気づきます。こうなると頚と肩甲骨の間の僧帽筋や肩甲挙筋などは緊張して力が抜けない状態になります。また、肩が前に出てくることでいわゆる「巻き肩」になり胸の前の筋肉である小胸筋が硬くなります。肩甲骨の位置がおかしいことに気付ければ頚を反対側に倒すことで僧帽筋や肩甲挙筋のストレッチをしたり、胸を張って肩甲骨を脊椎の方に寄せる内転運動を繰り返すことで小胸筋のストレッチを行い緊張を緩和させていきます。炎症期でも肩甲骨の運動は行いやすいのでそこから指導することが多いです。そのためには肩甲骨の位置に注目することが大事です。

まとめ

整形クリニックで勤務する場合、総合病院よりも外来リハビリに力を入れていることを知っておく必要があります。外来リハビリに力を入れているということは入院するほどの疾患ではないけれど通常の生活までは到達していないという患者さんが来院されます。そこで肩関節疾患の患者さんに出会うことは多いです。そのため、肩関節の知識を深めていくことが重要になります。整形クリニックに転職を考える理学療法士に参考になれば幸いです。実際に転職活動をするといには転職サイトへの登録をおすすめします。お考えの方は公式サイトをご覧ください。↓↓
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