関節リウマチのリハビリとは。理学療法士として注意すること。

リハビリ

関節リウマチの患者さんを担当したことがある方は一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。

炎症期だと痛みが強いし、変形が進んでいて拘縮もあってどこから手をつけていいかわからない状態の患者さんに何をしたらいいか悩みますよね。

また、関節リウマチで入院したわけではなくても既往に関節リウマチがあって肺炎で入院するとか骨折で入院するって場合もあります。

今回は関節リウマチのリハビリに携わる上で理学療法士が注意しなければならないことをお話しします。

1.関節リウマチを知ろう

1ー1:関節リウマチとは

関節リウマチ(RA:Rheumatoid Arthritis)は慢性に経過する、多発性関節炎を一主症状とする全身病です。

免疫の異常により関節の周りの膜である滑膜という組織に持続的な炎症が生じ、多くの場合寛解と増悪を繰り返します。

関節リウマチは膠原病の一つに分類されます。膠原病には他に全身性エリテマトーデス、リウマチ熱、強皮症、皮膚筋炎および多発性筋炎、結節性多発性動脈周囲炎がありこれら6つを古典的膠原病と呼ばれています。

全国で70~80万人の患者数が推定されていて、男女比は1対4と女性に多く、働き盛りの30~50歳代が発症のピークと考えられています。

1ー2:関節リウマチの症状

⑴全身症状

関節リウマチの活動期には、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹などの全身症状が起こります。

また、朝のこわばりという特徴的な症状もあります。

手足の関節が硬くなった感じがあり、腫れぼったく動かしにくい状態であり、特に朝に感じることが多いです。

これは関節と骨の変形による強い痛みや腫れがあらわれる前に感じることが多く、こわばりの持続時間は疾患活動性を反映すると言われます。

⑵関節症状

手の指や足の指などの小さい関節に対称的に関節炎が起こります。

また、膝や肩など大きな関節に関節炎が起こることもあります。

当初は腫脹、痛みなどの炎症所見が主体ですが、進行すると関節可動域の低下、拘縮などがおこります。

さらに進行し、炎症を繰り返すことで関節破壊(骨びらん:びらんとはただれること)、筋の萎縮、腱の断裂などにより特有の関節変形が起こります。

⑶その他

リウマトイド結節(肘、膝の前面などにできる無痛性腫瘤)、内臓病変として間質性肺炎、肺線維症があります。このほかに、悪性関節リウマチでは、胸膜炎、心筋梗塞、皮膚潰瘍などが出現することもあります。

1ー3:理学療法士としての大事な視点

関節リウマチはRA:Rheumatoid Arthritisを日本語訳したものです。

Rheumatoidは「リウマチ性の」、Arthritisは「関節炎」で直訳するとリウマチ性の関節炎となります。関節リウマチというと痛みや変形に目が行きがちですが、その前に関節の炎症を繰り返す疾患だということを意識することが重要です。

炎症には安静。でもリハビリでは動かさないといけない。

どうしましょう。

薬物療法で進行を遅らせることができるとはいっても原因治療は不可能なので慢性に進行します。しかも症状の増悪が繰り返されます。そのため、理学療法を行う上で重要となるゴール設定に困難さがあります。ゴール設定だけでなく病状の変化によって治療計画自体を見直さなければならないことも少なくないのです。

慢性に経過するという特徴が根底にあり、さらに病変の急性増悪がみられます。また、個々の症例によってそのときどきで症状に多様性があり、それぞれに合わせて理学療法の実施が必要です。

貧血、発熱、易疲労性、骨粗鬆症などの合併症はまれではなく、理学療法を行う上で注意する点です。

2.関節リウマチのリハビリを行う上での注意

2ー1:頸椎・頸髄病変

関節リウマチでは、環軸椎間亜脱臼、脱臼と中心とする頸椎・頸髄の病変が見られることがあります。病変の程度によっては四肢麻痺、呼吸麻痺まで起こる可能性もあります。

頸椎病変は即動作能力低下、ADL低下につながるため最も注意しなければならない病変です。

理学療法士は頸椎・頸髄病変からくる神経症状をよく観察し、頸部に余計な負荷がかからないように注意する必要があります。患者さんが寝返りや起き上がりの際に頸部に痛みを訴えるときは要注意です。

頸部自体の運動療法は十分に注意を払って実施するべきで、痛みを訴える場合ではとくにカラーによる固定もすすめられます。

2ー2:筋病変

関節リウマチは先述のように関節だけに症状を起こすのではなく、全身病です。筋、皮膚、末梢神経などにも病変が起こります。

関節リウマチは単なる「廃用性筋萎縮」とは異なり、疾患自体に密接に関連しています。

よって関節リウマチではない患者さんよりも筋機能の運動療法の効果は乏しいと考えれています。

2ー3:入浴に関する注意

関節リウマチでは急激な温度変化、湿度変化が加わることは好ましくないと考えられ、入浴時の衣服着脱、室温や水温と外界温度との差はなるべく少なくなるように配慮が必要です。冬の寒い時期には脱衣所を暖房機具で温め温度差が少なくなるようにしましょう。

2ー4:運動と休養

関節リウマチに運動療法は有効は手段です。しかし、とにかく運動すればよいというわけではなく運動と休養のバランスが大事になります。

運動によって疲労が強く出てしまえば効果がないばかりか病状を悪化させる可能性があります。

一方で全く運動を取り入れずに安静にし続ければ筋力低下や関節可動域減少を招くことになります。

腫脹、痛みなどの炎症所見のある関節にはむしろ、副子やサポーターなどによる安静をはかることがすすめられます。

痛みの急性増悪は通常2週間以内の固定で消退するとされているため、その期間は炎症が強くならないように痛みが出ない程度の関節可動域運動を1日2~3日行うのがよいです。



3.関節リウマチのリハビリ、理学療法の実際

3ー1:適切な運動量で行う

全身病である関節リウマチにおいて、発熱、易疲労性、貧血の程度などの全身状態にも注意する必要があります。その上で適切な運動量を決めていく必要があります。

関節リウマチで「適切な運動量」を推定するのは困難です。これは毎日患者さんと関わるなかで反応を見ていくしかありません。

翌日まで関節、筋などの激しい痛みや疲労感が残る、あるいは発熱、関節炎の増悪など全身症状が悪化する場合は過度の運動だったと判断できるので負荷を少なくしましょう。

3ー2:愛護的な関節可動域運動

関節リウマチの患者さんに対して行う関節可動域運動はとにかく優しく、ゆっくりと行います。可動域が少ないからといって、それを拡大させようと激しい痛みが出るような関節可動域運動は決してすすめられません。無理な他動運動は症状の改善よりも、むしろ有害で関節炎を悪化させる危険性があります。

運動後1~2時間で多少の痛みが残る程度なら適切ですが、翌日まで激しい痛みが残るのは過度な運動です。

3ー3:自動運動を利用

他動運動では痛みがあっても過度に行ってしまう可能性があります。そのため、患者さんの判断で運動を調整できる自動運動を利用するとよいです。痛みがあればそれ以上の範囲を動かそうとはしないし、他動運動を行う前にどの程度動かしてもよいか当たりをつけるためにも利用できます。自動運動で動かせた範囲で少しだけ抵抗を加えてみたり、中間可動域で等尺性収縮させれば筋力維持・向上につながる運動になります。

3ー4:歩行をしないほうがよい場合

歩行に必要な下肢の関節である荷重関節に強い炎症がある場合は、原則として歩行は避けるべきです。ベッド上での運動で下肢筋力、関節可動域の維持に努めるようにしましょう。

歩行は下肢の整列性(アライメント)が重要な要素です。

膝関節の屈曲拘縮が40°以内であれば歩行は可能ですが、関節破壊が進んでしまう可能性があるため屈曲拘縮のままの歩行は好ましくない状態です。

そのため、膝、股関節の屈曲拘縮防止のためには、日に数回腹臥位となるのもよいです。

まとめ

関節リウマチのリハビリで理学療法士が注意することをお話ししました。理学療法士としてできることを考えたときに動かすことばかり考えてしまいがちですが、まずは全身の炎症疾患であることを念頭において患者さんにあたることが大事です。炎症や疲労の程度に注意しながら無理なく運動療法をすすめていきましょう。

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